MasahitoTakeo

海にかかる霧のMasahitoTakeoのネタバレレビュー・内容・結末

海にかかる霧(2014年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

垢じみた、臭そうな漁船生活を描くオープニング。船長キム・ユンソクの父性のもとに癖ありまくりの面々が結束する貧乏漁船。
しかし、立ち込める海霧の中、様々な計算違いの果てに、事態が彼の父性では収まらなくなってくると、船員たちのまとまりは崩れ、前半では微笑ましく見えたそれぞれの個性が、むき出しの保身や怯懦、色欲や嫉妬へと変貌。
ついに船長は船=家を守るために、船員=家族を皆殺しにしようとする…

浮気をされる船長、女を船に連れ込む船員、それを覗こうとする後輩、借金から逃げ船に隠れる機関士、祖母と共に暮らす新米。貧乏漁船の生活が魅力的にじっくりと描かれているだけに、後半の霧の中で、強い父であらねばという思いゆえに狂っていくキム・ユンソクをはじめ、彼らの個性や関係性がむき出しの狂気へと変わっていく凄惨さと切なさが際立つ。

ユチョンも垢抜けない童貞として、ちゃんと臭そうな面々の仲間入りをしていて良かった。なんだあの髪型(笑)

ヒロインの生き抜くことへのしたたかさも良かったな。

ラストへの伏線となる、兄/恋人どちらに使われる単語「オッパ」が、日本語環境で観てるとイマイチ効果的じゃ無いのが少し残念だった。どうしようも無いんだけど。
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