パンケーキレンズ

再会の食卓のパンケーキレンズのレビュー・感想・評価

再会の食卓(2010年製作の映画)
4.0
歴史の悲劇によって、生き別れとなってしまった若き新婚夫婦

それから半世紀の年月を経て、年老いたお互いが上海で再会を果たします

感情の大袈裟な抑揚は無く
再会を果たした元妻は、口数も少なく
ただ静かに、再会の喜びと、戸惑いと、各々の思いが淡々と綴られています

移り行く上海の街

平屋が壊されて、コンクリートの高層住宅が次々と建てられてゆく、そんな中で

老人たちの望郷の念

若者たちのささやかな恋愛

今も膨らみ続ける上海という街に思いを込めた、作り手の情熱や愛情をひしひしと感じました

大皿料理を、小皿に分け合う
お客さんや、夫、父親に取り分ける厚意が、そんな風景が、ただ普通に毎回そこにある

昔のシーンが全く無く
生き別れた港の風景
それから後の、怒涛の時代
その全てを、想像するしかなかった
それが、もどかしさとして固まっていたのですが
食卓の風景を何度も重ねるうちに
不思議なくらい、溶かされ理解できたような気持ちになりました

上海の街並み一つ取っても
まるで、杯から溢れ出るような老人たちの思いが映し出され、後半になればなるほど、趣を増してゆく、味わい深い作品です