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誰でもない女のsaskiaのレビュー・感想・評価

誰でもない女(2012年製作の映画)
3.8
ナチスが生んだレーベンスボルン(生命の泉)計画によって生まれたノルウェー女性と家族のお話。実話ベースです。

アカデミー賞外国語映画賞ドイツ代表作品。ドイツ・アカデミー賞最優秀編集賞、ビべラッハ映画祭最優秀作品賞受賞。

レーベンスボルンというアーリア人増殖計画を全く知らなかったのでこの作品で知ることができて良かった。

『ある画家の数奇な運命』の登場人物が受けていた同じような人権侵害行為が横行してたんだなぁ。
他にもまだまだあるのかも。恐い。

ずっと家族だと思っていた人が実は家族じゃなかったら。
夫も娘も実母もショックなのはすごくわかるし気の毒だと思う。
でも責めないであげてほしかった。
カトリーネは好きでスパイをやってたわけじゃない。
他に生きていく術がなかったのだ。
彼女は完全に被害者なのに
まるで加害者のような扱われ方が不憫だった。


なぜ言ってくれなかった
全て分かち合いたい痛みも苦しみも


言えるわけがない。
でも夫のその一言に少しは救われたかな。
今まで誰にも言えずにひとりで抱えて生きてきた彼女のことを思うと胸が張り裂けそうになる。

自分が誰でもない、誰だかわからない
なんて想像を絶する苦しみだと思う。
自分の人生が偽りの上に成り立っていたなんて恐ろしい。

カトリーネのような運命を辿った人がたくさんいると思うとやるせない。

ナチスは負の遺産しか残さない。
知るべき事実。知れて良かった。



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2021/№315✧🌛
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