FukiIkeda

誰でもない女のFukiIkedaのレビュー・感想・評価

誰でもない女(2012年製作の映画)
4.0
第二次世界大戦戦時中、ドイツ民族の人口増加とアーリア系「純血性」の確保を目的として設立した女性福祉施設「生命の泉」(レーベンスボルン)があり、北欧系白人がより純潔のアーリア系とされ、ドイツ人との子供を宿し、養子仲介なども行っていた。
そこで生まれた子供達は、ドイツに連れ去られ、ドイツの家庭に養子となる場合もあれば、ドイツの孤児院で育てられる場合もあった。
戦後、「レーベンスボルン」で生まれた子供達とその母は忌避され、ノルウェーでは占領時代にドイツ兵と関係を持った女性はナチスに対する協力者として強制労働キャンプに収容されており、ノルウェー人の母から引き離され、旧東ドイツの施設に収容されていた過去を持つカトリナ。
ノルウェーに亡命し、母と再会し、その後そんな過去を隠し、優しい夫や娘と暮らしていた彼女だが、ある弁護士がレーベンスボルン問題の訴訟の件で、カトリナを訪ねてきたところから、この物語は大きく動いていく。
ジャケはハーケンクロイツ推しで、確かにナチスが残した、ノルウェーでの同胞差別問題が発端ではあるが、ドイツ関連では数少ない東ドイツ問題も題材にした映画。
生きるために選択せざるをえなかった女たちの悲劇を描いている。
FukiIkeda

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