自分の家族の中のひとりがもしもスパイだったら…。
笑いが止まりません。
でも、この家族だってその事実を告白されるまでだったら、きっと「笑い話」だっただろう。
主人公の女がしてきた事を責める気にはなれない。彼女が手に入れたいもののために気の毒な犠牲者がいたのも事実だけれど。
国を告訴するために証言を欲しがる弁護士は正義のためか名誉のためか真意は判らないけれど、せめて証人の安全は確保しなよ、と思う。
スパイという苛酷な人生を強いられた彼女はもちろん、夫も娘も老いた母親もみんな気の毒だが、特に母親の辛さはいかばかりか。彼女を見送る母親の表情が胸に刺さる。