デニロ

イニシエーション・ラブのデニロのレビュー・感想・評価

イニシエーション・ラブ(2015年製作の映画)
3.5
数年前、書店のポップに誘われて買ってしまった「模倣の殺意」作:中町信という推理小説があった。読み進めていくと徐々におかしな気分になっていって、終盤では、もしや、という風に気付いてしまった。読み終えて、これはないだろう、叙述トリックといえばいえるが、と思ったものだ。

本作の場合、それはないだろうという変化が最初に起こったので、その疑惑を補強する材料を気にしながら見ていた。決して語ってはいけない秘密のワードは伏せますが、沢山あってこれはもはや謎ではなくなってきた。

そして、物語の興味は失せるのだが、あらかじめ二つのパターンの予告篇は松田翔太、前田敦子のふたりだけで進めているし、2パターン目では木村文乃がイニシエーション・ラブの解説を仰々しく行ったりしていて、あたかも前田敦子が狂信的な愛情で松田翔太を覆い尽くそうとしているかのような話にも誂えていた。製作者サイドは、先ずは情報戦を制している。

前田敦子の圧倒的な可愛い子ぶりが見られるSide.Aは居心地が悪く、というのもまあ、わたしが男の子だった頃鈴木夕樹君のようにメロメロにさせられることがあったからからであって、そうしたことは男の子全般に言える傾向であればわたしも救われるんだが。ともかく前田敦子の演技は小気味よく圧巻だった。Side .Bは、疑惑を収斂していく描写の連続なんだが松田翔太がなかなかコミカルで笑えるし、久しぶりに木村文乃がすっきりとしていてきれいだった。

ラストの立ち位置で分かるイニシエーション・ラブのタイトルの意味。でも、最後の種明かし映像は無用の風鈴ではないか?
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