完成度の高いリアリズム映画です。
映画の始まり方がよく、冒頭の数分で冷たい雰囲気やエレナが置かれた立場が分かります。エレナを演じる女優が綺麗すぎず、身近にいそうな中年の女性というのもいいです。
夫は確かに冷たい人物なんでしょうけど、それ以上に息子がだめですね。だから夫は完全な悪役ではないのですが、そこがリアルでいいです。エレナは優しいのでしょうが、分別がつかず息子家族にしか関心がないので、息子家族のためなら何でもしてしまう。息子を立ち直らせるためには、厳しく接した方がよかったでしょう。
前作の「ヴェラの祈り」は長尺でワンシーンあたりの情報量が少なすぎて若干退屈でしたが、今作は最後まで興味深くみることができました。