傑作だ！と感激する作品は多々あっても、鑑賞後にこれほど一つの作品に対して思い馳せることってそうそうなかった。いつぶりだろうか…
圧倒的な芸術性と唯一無二な存在感。
なんとなく、では済まされない衝撃だった。
目の前一杯に広がる映像美に、完膚なきまでに打ちのめされて瞳孔開きっぱでした。
これ、本当にスクリーンいっぱいに視線を泳がせて溺れてほしい！
重大なテーマが背景にあってもフューチャーするわけでもなく、訴えかけるような演出があるわけでもないです。
そこに雨が降れば水は溜まりつうつうと流れるし、風が吹けば草原は揺れる。太陽が昇って恋する少女の髪を透かし、また沈んでゆく。
彼女たちが踏みしめる大地だとか動物の生命だとか、躍動感あるみずみずしい”生”を目の当たりにして、それが全てだった。言葉がないことになんの不足も感じなかった。
惚れてしまったからには、そこで起きていたひとつひとつの意味を知りたい欲求が掻き立てられる。だけど、散りばめられた伏線が意味するものを完全に回収することは、野暮なようにも思えてくる。
2日前に観たにも関わらず、強烈なインパクトとラストの戦慄にいまだに胸が震えている気がします。
