一切の台詞はなく、ただ広大な自然の中でゆっくりと時だけが流れていった。
青々とした空、どこまでも続く地平線がとても美しく、どこを切り取っても一枚の絵画になりそうだった。
けれどこの穏やかな日常も全ては嵐の前の静けさにすぎなかった。
ラストシーンでは言葉が出なくなった。
何の罪もない民間人がどうしてこのような目に遭わなければならないのか。
一切の台詞と人物名、舞台までも排除したのには、全ての地において誰しもがこのような脅威にさらされる可能性があることを示唆する目的があるのだろうか。
かなり胸が痛くなる映画で、強いメッセージ性を持っていた。
この映画自体最後のシーンを伝えるために作られた、いわば実験なのだと思う。
こういったことが実際に世界のどこかで起こっていて犠牲者が出ているということ、しっかり記憶しておきたい。
金髪の青年が少女の顔を覗き込むシーンがいちいちホラーじみてて笑ってしまった。
