長方形の画面の真ん中に映るものが、とても綺麗だった。真っ青な空をバックにど真ん中に映るプロペラ、トラック、ラジオ。
青年と初めて会った家の井戸の水の音。水にうつる二人の影。
三つ編みを丁寧にひと縛りずつ解くときに、隙間から溢れるオレンジと黄色の光。
広大な草原のなかにポツンと歩く少女。
夕日を食べるお父さん。
何かを強く見る眼差しと、時々見せる微笑みが魅力的。吸い込まれる。
お父さんとハンドルを持って、一緒に運転てたとき、青年がトラックのうしろにのってたとき、お父さんが夕日を食べたとき、穏やかな日常の中での少女の喜びが見えた。
一つ一つの動作の丁寧さ、優しさ、お父さんへの愛、青年と出会ってからの恋する気持ち、一人でいるときにドアを叩くひとがきたとき、肝を据えて銃を構える覚悟、最後の瞬間、全てを悟り受け入れる強さ。セリフがなくても、ないからこそ、感じ取れることが多かったように思う。
そしてなにより、全ての景色が美しかった。