この映像は映画というよりはドキュメンタリーフィルムというジャンル分けになると思いますが、それも今の時代にたくさんのジャンルの映像があることを前提としたジャンル分けであり、この当時では、「写真が動くこと」つまり「映像」というものであることが「映画」というものだったのではないでしょうか。
この映像は3タイプあり(添付した映像にはその3タイプすべてがくっつけてあるものでした)馬車の数や、労働者の服装からその違いを確認できます。
もちろんここに出てくるキャストや全員素人であり、芝居をしているという感覚はなく、その自然体な姿を観ることができます。ちらっとカメラを見つめるものいれば、無視して去っていくもの、わざとなのか目立つような行動をしているもの。
その当時の人達のこの映像に対する素直な反応が観ることができ、とても面白いです。なぜ工場の出口を撮影したのかなどは推測でしかないですが、当時のキネトグラフ(撮影するものをキネトグラフ、それを映写するものをキネトスコープという)がとてつもなく重く、動かすのが大変なことや、すごく明るいところで撮影しないと真っ暗な画になってしまうこと、この当時の映像の凄さを表現するためには、「何かが動いている」ということを表さなければないため、その選択肢が人々となり、結果労働者が工場の大きな扉から出てくる映像になったのではないでしょうか。
以上のことはあくまで推測でしかないですが、それ以上に映画史のスタートの作品を観ることができる喜びは何者にも代えがたいです。
この映像を観てると何故か笑みがこぼれてしまいます。
[追記]リュミエール兄弟1895年にシネマトグラフを発明してるのでこの作品もシネマトグラフで映写されたと思われます。