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母娘監禁 牝〈めす〉のにゃんにゃんのレビュー・感想・評価

母娘監禁 牝〈めす〉(1987年製作の映画)
5.0
斉藤信幸×荒井晴彦。冒頭の青い海×テトラポッド×女子高生、不安定な思春期の消えたい思い、ひこうき雲、ここからもう傑作のニオイが漂う。前川麻子が素晴らしすぎて、透明感と未成熟さに心つかまれる。高校生を落とすのは簡単、堕ちるのも簡単。加藤善博が清々しいクズ。河原さぶは可愛げのあるクズ。行き場のない精神的監禁。逃げ出すことの代償。冷蔵庫。胸糞なのに泣ける。あの時に死んだ、って意識に支えられ、贖罪、空に憧れて。ひこうき雲で始まってひこうき雲で終わっていく。さすが荒井晴彦、どこに救いを求めていいのかわからないけれど、生きることの救い。何事もなかったかのように墓まで続いていく未来が浮かぶ。傑作だ。

2021.12.13シネマヴェーラ渋谷。冒頭の海からずっと泣き続けてしまった。タイトルがあれなので女が観に行くには勇気が要ったけど、やはりこれはスクリーンで観るべき映画。前川麻子のまなざしに吸い込まれた。吉川遊土にも心底共感。生の実感のない、ガラスのように繊細な少女と、生きるために割り切れる母の対比。加藤善博のクズなりな感情も丁寧に描く。この作品はもっと評価されてほしい。
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