蛸

フェイク シティ ある男のルールの蛸のレビュー・感想・評価

4.1
エルロイとデヴィッド・エアーのコンビのなんと親和性の高いことか。舞台はもちろんLA。犯罪者を捕まえるためには違法な囮捜査や証拠の改竄も厭わないほとんど汚職警官の主人公をキアヌ・リーブスが演じる。
基本的には主人公が元相棒の死の真相を探っていく内に巨悪の存在に気づいていく…というありふれたストーリー。この作品を特別なものにしているのは映画全体に流れる閉塞感である。全編に漂うハッピーエンドなど到底望めそうもない雰囲気。正義と悪の曖昧な世界観。「警察は報告書一つで事実を書き換えてしまう」というセリフは悪徳警官のやり口だけに対しての言葉ではない。これはこの映画で唯一遵守される絶対的なルールだ。結末に至って、この閉塞的な世界観はいよいよその強度を完全なものとする。皮肉が効いたノワーリッシュなエンディングだ。全てが終わった後にカタルシスはない。世界は絶対的な権力で覆い尽くされている。
「LA」「汚職警官」「ノワール」などの言葉にピンときた人間は見るべし!
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