ゆみな

エレファント・ソングのゆみなのネタバレレビュー・内容・結末

エレファント・ソング(2014年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

相当好きです!
レンタルしてきて1回観て、結局もう1回観たくてブルーレイ買った。いやあ…これはいいドランですよ。

なんかね、やっぱり孤独ってテーマは美しいと言うか…冒頭、目覚めるマイケル(グザヴィエ・ドラン)の絶望に満ちた目をみた瞬間、これは私の好きな物語だと確信したよね。

登場人物も少なくて、ほぼ病院内でのシーンなんだけど、マイケルとグリーン院長の探り合う会話に魅せられて、ぜんぜん飽きることなく観れるわけなのよ。あの密室でマイケルと2人になったなら、惚れるとまではいかなくても絶対彼が心のどこかに居座ってしまうと思うの。それは彼が今まで置かれた環境だったり…経験だったりね、なんだろう…孤独ゆえ滲み出る儚さと言うか、それを隠すための狂気みたいなものに翻弄されて、放って置けない気持ちが強くなってくるのね。

トイレのシーンずるくない?
もう、爪噛むのずるいもんな~。あれ狙ってやってるとしても囚われちゃうもん。流れる涙がまた美しくて…!たぶんあの時にはちょっと心が揺らいで居たような気もする。

あとさ、グリーン院長と元妻との関係って言うのも切ないんだわ。彼は娘の死を彼女の責任だと思ってる…そして彼女もそれを理解している。でも、ラストで分かるんだよね。彼女の抱えていた痛み…どうしようもなかったってことが。命を救えなかった瞬間の共有が、2人の未来を変えていくのね。ここまでマイケルは見越していたのかな…

マイケルは「初めて幸せにちかづいたのに」、それを身をもって感じることができないことに、愛されなかった過去を重ねて更に孤独に陥るのね。でも、撃ち殺されたゾウが流す血液とは明らかに違う、自分を守るために流れた血液が彼の胸に染みるシーンには泣かされた。よく観るとチョコレート色の服とか小物がことごとく多いんだわ。その辺もうまい演出だと思ったなぁ。
ほんと、よくできた素晴らしい映画。


あ、そういえば特典映像にグザヴィエ・ドランが出てる短篇「鏡」が入ってたよ。
ドラン若かった(笑)
ゆみな

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