石口

東海道四谷怪談の石口のレビュー・感想・評価

東海道四谷怪談(1959年製作の映画)
5.0
いたって古典的な怨恨の物語だが、美術・照明・撮影など総合的な技術力の高さにより圧倒的な満足度を達成している。湖や沼がやたら禍々しく撮られており、蚊帳が張られた暗い室内のショットもムード満点、怪談映画としての格調を感じさせるのが素晴らしい。

眼前に幻覚が出現した後また現実に戻るという見事な編集は、ブニュエルや清順を想起させるようなシュールな表現。その美しい色彩も含め強烈な印象を受ける。中川信夫はこの一作だけでも映画史に名が残るだろう。
石口

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