カラン

ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画のカランのレビュー・感想・評価

4.0
ホームセンターで化学肥料を買って、ダムを爆破する。グリーン系過激派の若者たちがテロをする話。 


ジェシー・アイゼンバーグやダコタ・ファニング、そしてピーター・サースガードがキャスティングされた、環境主義者たちの映画をケリー・ライカートが撮るとなれば、それは無駄に期待値が上がるような下がるような。グリーン系過激派映画『ザ・イースト』(2013)、『グリーン・インフェルノ』(2013)、そして本作『ナイト・スリーパーズ』もまた2013年である。いわゆる「エコテロリズム」であるが、なかでも1番陰鬱なのが本作である。

ケリー・ライカートという人は、荒涼とした野山や厳しい労働観を物語るショットを見るに自然主義的な映画監督なのだと思う。エコロジーではなく、文学とかの自然主義。ダムを破壊しようとする派手な人物よりも、なんとか作り上げた農場を過激な思想でめちゃくちゃにしないで欲しいと思っている目立たない人物のほうが、ケリー・ライカートの表現がフィットするようにも思えた。

ケリー・ライカートは映画のエモーションを自然に発露する表現法を体得していて、この映画で言うと、大きなキャベツの列にカバーを被せようとしているところ。黒い土が見えていて、厳しい環境が視覚化されている。緑の列の手前に目立たない農場の男。向こうにジェシー・アイゼンバーグが演じるエコテロリストの男。2人でカバーをかけるが、エコテロの男は上の空で、カバーは捩れてうまくかからない。このシーンの前に起伏のある草原を渡るアイゼンバーグをロングショットで捉えており、きちんとエスタブリッシングショットを入れている。こうしたことはケリー・ライカートがどんな映像作家であるのかを示しているのではないか。



ダコタ・ファニングが良かった。デジタル撮影。夜が良いが、もう少しな気もする。変なタイトルで、パッケージも変。映画を観てない人が付けたのだろうが、それもテロだ。

レンタルDVD。画質良し。5.1chサラウンドは悪くないが、良くもない。

55円宅配GEO、20分の9。
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