雨のなかの男

ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画の雨のなかの男のレビュー・感想・評価

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U-NEXTで鑑賞。原題のNight movesの方が良かったかと。ケリー・ライカート監督はこれまでの作品で度々「動的モチーフ」を取り入れている。車はもちろん歩いたりロバを引いたり馬に乗ったりする中で、本作は初めてボートが登場した。本作の主人公達が闇夜の中をボートで突き進む姿は緊張感に溢れているし、この一夜の出来事が彼らの状況を一変させる意味ではNight movesはかなり示唆に富むタイトルだと思う。そしてこの「重要な」夜以降、主人公たちが疑惑の眼差しを向けられ、また自ら罪の意識に苛まれ始めることで、「停滞と安住」を許さないいかにもケリー・ライカートらしいストーリーテリングが始まる。これにより物語自体が尻すぼみになることなく、最後までヒステリックな雰囲気と緊張感が生まれ、引き付けられた。アウトドア専門店にたどり着くまでの最後のドライヴ映像は、閉塞感を打破せんとする主人公のヒステリーと自由さが見事に映し出されていて相変わらず秀逸。
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