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北の国から'87初恋のmegurosのレビュー・感想・評価

北の国から'87初恋(1987年製作の映画)
4.2
純が上京する回。結局は上京も、昼間働いて夜は定時制高校に通うというアイデアもレイちゃんからの完全な受け売りで、後に純が東京でフラフラするのもさもありなんと納得。

しかし、東京における純を思えばこの頃の純は風力発電を五郎の誕生日に向けて作ったりとだいぶマシ。それでもやり方が汚い/良くないという短所は健在だった。

脚本が上手いのは、チンタが先に好きだと言っていたレイちゃんに影でこそこそ会っていた純がチンタと険悪になるエピソードが、上京の話を五郎に相談しないという純のやり方に重なり、草太兄ちゃんの言う「したっけおじさんの気持ちも分かるぞ」に説得力を生んでいる点。

五郎に何も言わずに東京に出ていくことさえ考えていた純だったが、いざレイちゃんが夜逃げで何も言わずに出て行ってしまうとそれを嘆き、このあたり雪子おばさんの手紙で「人と人が別れるということは大変なこと」がテーマとして浮かび上がってくる構成になっている。

「もうお前のことなんか仲間と思わんと親父に伝えとけ!」とレイちゃんに対して荒ぶるなど、この頃の五郎は親としての在り方に悩んでいるからこそイライラ状態で停滞気味。純が「子供に関係ないだろ!」と言っていてそこには珍しく同意できるが、さらに一枚上手なのは蛍で、純が本当はレイちゃんと一緒に上京したかっただけであるとしっかり見抜いていた。

レイちゃんとの帰宅シーンで純は緊張で無口となり「高倉健みたい」と言われるが、それが後に健さんに見守られて童貞を捨てるところの伏線になっているのか、いないのか。
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