megurosさんの映画レビュー・感想・評価

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

前半でオッペンハイマーが林檎に青酸カリを注入する場面がある。旧約聖書において林檎は善悪の知識の樹に育つ実なので、”躊躇なく毒林檎を作って後で後悔する男の話”と捉えれば実に映画全体を端的に表現している。>>続きを読む

禅 グローグーとマックロクロスケ(2022年製作の映画)

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こんなのあったのか。謎に音楽がルドヴィグ・ゴランソン(ジブリファン?)。※Reddit覗いたら、当時の憶測として「君たちはどう生きるか」の劇伴を(久石譲を差し置いて)彼が担当するのでは...?!なんて>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

フランスの雪山の山荘で男性が転落死。真っ先にその妻でベストセラー作家のドイツ人妻サンドラが疑われ裁判となる。唯一の目撃者は二人の11歳の息子で弱視のダニエル。さすがはカンヌのパルムドール作品とあって、>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

フランケンシュタイン博士をモデルにしているだろう天才外科医ゴドウィン・バクスター(見た目はフランケンシュタインの”怪物”)は、身投げした妊娠女性にお腹の子の脳を移植して女性を蘇生、ベラを生み出す。ゴド>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ステレオタイプな”黒人エンタメ”が求められる出版界に辟易し、ジョークのつもりで書いた(母親の介護費用のために書いた)黒人要素てんこ盛りな”ゴミ小説”が大ヒットしてしまう。日本の映像産業と同じ構図がある>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

先行上映をIMAXにて鑑賞。ハルコンネンに滅ぼされたアトレイデス家の生き残りであるポールが、砂の民フレメンに逃げ込んだ所までが前作。今作ではポールが砂漠で生きる術を身につけ、フレメンの一員となり、数々>>続きを読む

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間(2023年製作の映画)

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2022年2月24日、ロシアがウクライナへ本格的な軍事侵攻を開始。ウクライナ南東部の中核都市であり、ロシア国境から50キロも離れていない場所に位置するマリウポリは、大きな港町であるためロシアの軍事作戦>>続きを読む

マイ・エレメント(2023年製作の映画)

3.8

韓国系アメリカ移民2世のピーター・ソーン監督自身の経験から作られているとのことで、火や水、風・土などの元素が暮らす街エレメントシティはアメリカ、水のエレメントは白人、火のエレメントはアジア系移民を表現>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

日常の些細なことにも不安を感じる中年男性ボーを主人公としたホラーコメディ&スピリチュアルジャーニー。監督のインタビューによると”逃れ難い母親の抑圧”というのはとてもユダヤ的なテーマであるということだが>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

母が元夫との離婚後300日以内に子を出産した場合、その子は元夫の子と推定される。その嫡出推定は1898(明治31)年施行の民法で定められたそうだが、今も残っているというのがまず驚き。こうしたケースにお>>続きを読む

その年、地球が変わった(2021年製作の映画)

4.0

Covid-19によるグローバル規模の都市封鎖/ステイホームが、地球環境にどのような影響を与えたのか?Covid-19により世界の経済活動はストップしたわけだが、それは裏返すと人類が地球に与えている悪>>続きを読む

国葬の日(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

公開初日に鑑賞。劇場にいらしていた大島監督からは、『なぜ君は総理大臣になれないのか』そして『香川1区』にて選挙における候補者を映してきたが、有権者の側に興味を持つようになり、今作では日本人論にアプロー>>続きを読む

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

アイドルグループ「CHAM」を脱退して女優に転身する霧越未麻。事務所の方針に従ってレイプシーンを演じたり、ヌード写真集が週刊誌に載ったりすることで、昔からのファン、そして未麻自身も心を痛めていく。”こ>>続きを読む

シークレット・サンシャイン(2007年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

イ・チャンドンレトロスペクティヴで上映された4Kレストア版にて今回は鑑賞。

最愛の夫を亡くしたシネ(チョン・ドヨン)は夫の故郷である密陽(ミリャン)に移住。そこで息子が誘拐され、帰らぬ人となってしま
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復讐者に憐れみを(2002年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

「別れる決心」に感銘を受け、過去作振り返り中。「JSA」「オールドボーイ」「お嬢さん」あたりはリアタイで見てきたが、「親切なクムジャさん」を見落としていたから気付かなかったのだろうか。パク・チャヌク、>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

冒頭の指示テープ配送はUber Eats、続くアブダビ砂漠のシーンも凡庸な展開で心配してしまったが、空港シーン以降は手に汗握るインポッシブルなミッションの連続で楽しめた。

今回の敵はAI。巷間言われ
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AIR/エア(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

Amazon配給のため速攻でアマプラ入り。ベン・アフレックとマット・デイモンが設立した制作会社Artist Equityの初プロジェクト。

時代設定は1980年代半ば。Nikeがバスケシューズのシェ
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それいけ!アンパンマン おもちゃの星のナンダとルンダ(2016年製作の映画)

3.8

娘が一時期ハマっていた作品。白玉さまのヅカコンサートから、バイキンマン乗っ取りによるバイキンコンサート、そしてアンパンマン登場&テーマ曲までテンポよく、歌あり踊りあり賑やかで良い。ワガママ娘のルンダ(>>続きを読む

スタッツ:人生を好転させるツール(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ジョナ・ヒル監督。自身のセラピストであるフィル・スタッツのメソッド/ツールを紹介するドキュメンタリーだが、その中でヒルやスタッツ自身が抱える問題や苦悩にも触れられていく。

鬱の克服に、まずは食事や運
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ハマのドン(2023年製作の映画)

4.0

テレビ朝日が制作した2本のドキュメンタリー番組が元になっているとのこと(どおりで見覚えが)。2021年8月の横浜市長選に至る諸々の経緯や当時の感情が鮮やかに蘇った。

横浜の港のドン。全国港湾の親玉で
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

てっきり「風立ちぬ」に近い世界背景で”新しい戦前”を描くように思っていたが、そんな小さくまとまるはずがなかった。想像は良い意味で裏切られた。

老境に至ってもセンスオブワンダーは衰えを知らず、ファンタ
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怪物(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

話は3部構成。まず、自身の子供が学校で先生から虐待を受けているのではないかと心配する母親の立場から。続くパートでは反転して新任教師の立場からモンスターペアレントの対応と教育委員会の顔色伺いが常態化して>>続きを読む

素晴らしき、きのこの世界(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

在野の菌類学者であるポール・スタメッツを軸に、菌類の歴史やその生態の驚異、可能性にまで触れるドキュメンタリー。映像がまず圧倒的に美しく、気付きも多かった。

菌類活用領域としてまず取り上げられたのは石
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冬子の夏(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)出品作。高校3年の夏を迎えても何をしたいか見つからずにイライラする冬子は、美術部の友人であるノエルと“無駄なこと”であり“>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

話が終わらずに終わってしまいびっくり。これ前編だったのか...。

前作の”自分は1人じゃない(他のユニバースにたくさん自分と同じような想いのやつはいる)”をさらに推し進めて掘り下げる本作。

この前
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MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

タイムループものは数あれど、同じことを繰り返していないか?という広告業界における日常の感覚、ブルシットジョブ環境を比喩的に取り入れている点において、まず個人的な共感は深い。

ただ、タイムループものの
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

(あ…ありのまま今起こった事を話すぜ…)

車との性交によって妊娠した連続殺人鬼ポールダンサーのアレクシアは指名手配され逃走する先で、消防署の隊長から”行方不明の息子”となぜか勘違いされる。アレクシア
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.0

1973年の夏、ハリウッド郊外のサンフェルナンドバレーを舞台にしたPTA版ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド。「アメリカングラフィティ」「リッジモントハイ」さらにはPTA自身の「マグノリア」>>続きを読む

死刑にいたる病(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

真面目な高校生を狙った栃木24人連続殺人事件。連続殺人鬼・榛村(はいむら)の営んでいたパン屋の元常連で当時中学生だった雅也は、起訴された9件の内、手口が異なる最後の1件の冤罪を証明して欲しいと榛村本人>>続きを読む

ガメラ3 邪神<イリス>覚醒(1999年製作の映画)

3.8

前作におけるガメラ活躍(vsレギオン)の際の”被災者”である前田愛。ガメラへの憎悪が勾玉を介してギャオス変異体のイリスを誕生させる。

イリスの第一被害者として仲間由紀恵が速攻でカピカピのゾンビになる
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MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

監督自身が悩まされていたらしい頭内爆発音症候群。ストレスが原因のようだが、コロナ禍のストレスもあったのだろうか。漁師?のエルナンは「経験は有害」「記憶の嵐を制御できなくなる」と語るが、コロナ禍にあって>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

3.8

ベルファストに残った者たち、去った者たち、そして死んでいった人たちに捧げられた映画。故郷を離れるということは、親との別れであり、幼年期との別れでもある。別れを悲しみながらも、それぞれがそれぞれの場所で>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

亡くなった父との最後の思い出となったトルコ旅行を振り返ってはいるが、単純な死別を超えるただならぬ切なさが映画の細部に忍ばされている。

多くは語られない/直接的には示されないが、恐らく父は鬱病で、この
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TAR/ター(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

男性社会で女性指揮者が頑張る話ではなく、むしろターはオヤジ社会を体現するような父権的カリスマで、自分の権力を用いて他者をやり込める女性指揮者版ハーヴェイ・ワインスタインだった。

※ターは同性カップル
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Phil Tippett: Mad Dreams and Monsters(原題)(2019年製作の映画)

3.8

狂気の神様の実像を知るべくこちらも鑑賞。てっきりギーガーのような(偏執的な?狂った?)人を想像していたが、職人や哲学者(苦虫を噛み潰したブレンダン・グリーソン)のような人だった。しかし、子供の頃から”>>続きを読む

マッドゴッド(2021年製作の映画)

3.8

全編悪夢。ハリーハウゼンの後継者、ストップモーションアニメにおける“狂気の神様”が描く地獄巡り。監督自身がマッドゴッドである。

冒頭にPG12と出て驚いた。PG12=“12歳未満の子供が視聴する際に
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