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モアナと伝説の海のLCのネタバレレビュー・内容・結末

モアナと伝説の海(2016年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

面白かった!

タヒチ語で見ようと思いつつ、つい英語で見てしまう。ロック様の歌声を聞くために。

ポリネシアは欧州の波に大部分が飲まれたことを考えると、本作のマウイ(現実では神話の存在)は単に英雄というものに留まらず、伝統の継承者でもあった。
引き上げた陸がひとつひとつ島となり、人々は各島を繋げてくれる海に敬意を払った。海が続き星が見える限り、どこまでも旅することが可能な技術が確かにあったかもしれない。

海への親しみ、距離感の近さというものを感じる。
伝統的な船で伝統的な航海術を使う者は、必ず海に囁きかけるらしい。荒げた声で接すると、海は機嫌を損ねてしまうのだとか。本作の主人公はしっかり海に悪態をついていてクスッとする。
海に囲まれ、海に語りかけ、海を聞き、海を日々見つめる。海はそこにいてくれる。この親しみを、本作は見事に表現したと思う。海というキャラクターを生み出した。きちんと主人公への親愛が伝わる動きをする。

海を渡って旅をする動きは、長い間止まる。
それまでに様々な島々と交流し、時には残り、時にはまた旅し、そんな彼らに残る言葉があるようだ。
「自分を知るには、自分の山を知ることだ。」
山はルーツを表すという。
本作で主人公は、自分の祖先が旅をしていたことを知る。
そして、山に会いに行く。
その山は、彼女の山なのだろう。
自分の山に会えたその後、彼女は民を引き連れ、海へ。
彼らは次にどこへ辿り着くのだろう。
先祖と同じ生き方を貫くことが、どこまで可能だろう。

タトゥーに関しては、単なるオシャレ文化ではないところを描いていて好感が持てる。
彼らにとってはそれが記録なのだ。紙でもコンピュータでもなく、体に刻む。
少し地域は外れるが、マオリの戦士は顔に刻む。上の立場の者に認められた時に記録が増えていくらしい。HENAREというプロレスラーはハンマーヘッドシャークを顔に彫っている。打たれ強いからだそうだ。因みに彼のタトゥーは現時点で未完であり、先輩に認められる時までお預けだと話していた。
マウイは体が既にタトゥーだらけだったが、顔には彫られていないように見えた。
おばあちゃんのダンスや言葉や色々な伝承や、多くのものが島によって姿を変えるらしい。
海で繋がっている、海の向こうのこことは違う何か。旅人ではなくともわくわくする。

でも正直な話、見上げたら巨大な魚影が見えたりする場面は本当に怖かった。
私は水中映像がとんでもなく苦手なのだ。しっかり魚影に見えたよしっかり怖かったよすごい。
でもキラキラダンスには見惚れたけど。
モーゼ割りができたら私もあの辺りを旅できるかもしれないな。
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