Mee

モアナと伝説の海のMeeのネタバレレビュー・内容・結末

モアナと伝説の海(2016年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

自分らしさはどこにある?

物や自分の住むところなど、自分以外に自分らしさを求めて葛藤する登場人物たち。
しかし、冒険を通して学び、テカーとなったテ・フィティに心を返すシーンで自分らしさは自分の心にあるんだよ、とハッキリ定義する。
先祖から脈々と受け継がれた心意気が私だ、モアナだ!と歌うところは鳥肌たった!!!

上述した部分が作品のメインテーマです。
ディズニーの新しい映像の見せ方だったり、世界観に浸れて満足だったのですが、どうも他ディズニー作品に比べて粗が目立つ…。
モアナが、自分らしさは心にあるんだ!と気付くシーンは祖母の手引きがあったからかと納得がいく。
しかし、マウイもまた自分らしさは自分の心にあると気付いた過程を見せないまま都合のいいタイミングで改心して助けにくる部分はどうしても受け入れ難い。
特にマウイの方が、釣り針に自分のアイデンティティを強く見出していたので、あんな短時間で自力で気付くのは無理があるような…どうしてもご都合主義的展開感は拭えない。
あと海!助けるの気まぐれすぎか!?
マウイの釣り針にひびをいれてしまう原因となったテカーとの戦いの時に、今まで幾度となく助けてきたんだからあそこも助けないと不自然だ。
いや、あそここそ最大のピンチなんだから助けるべき!
攻撃はしなくていいから波を作って船を安全な場所まで押し出したり、マグマを防ぐ盾となったりの描写が個人的には欲しかった。
まあ物語的に助けちゃうと釣り針壊れないし、盛り上がりに欠けてしまうんだけれど。
うーんでももう少しやり方あったんじゃなかろうか。
そして、ヘイヘイの使い方。
能ある鷹は爪を隠す、の回収まだかなーと思ってたらまーあんなワンシーンでおさめてしまうのね…
散々無能である事を示す描写を重ねて引っ張ってきたのに、あれで終わらせてしまうのはなんだかなという感じでした。
というか、石を海に落としても波が返してくれるシーンを1度挟んでいるので、それに緊迫感を感じない。
また、動物自身の生き方を以って主人公に生き方や思考の方向性を見せる手法も用いていない事から(モアナ自立感はんぱない😌)、言ってしまえばヘイヘイ無駄です。
ディズニー作品だから仕方なく動物を出している感じ。
冒頭のブタも荒波に飲まれて以降一切出てこないという。
今作は相棒となる動物の使い方ヘタだなーと思ってしまった。

まあまだまだ細かい所でん?となるシーンはあったけど、とりあえず特に気になったのが上記3点。
設定が粗いのならばテーマで魅せよう!となっても、自分らしさの探求はディズニー自体に一貫したテーマなので、目新しさもなし。
でもモアナの透き通るような歌声(日本語吹き替え)、映像の綺麗さは大満足!
逆に言えば、そこだけでやり切った力技映画。

今や子供向けにおさまらない、ハイクオリティな作品を生み出すディズニーに、「子供向けなんだから」という気持ちはさらさら湧かん!
次作に期待を持って待とう。
Mee

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