Uえい

マウス・オブ・マッドネスのUえいのレビュー・感想・評価

マウス・オブ・マッドネス(1994年製作の映画)
3.5
「ボーはおそれている」予習シリーズはこれが一旦最後かな。久しぶりにジョン・カーペンター監督の作品を見たが、クトゥルフのアーカムの町を探すような話から、現実と空想がない混ぜになる超展開がめちゃくちゃ面白かった!

保険の調査員トレントが精神病院で、入ることになった過程を語る形式で進行する。世間ではサター・ケインという作家が書いたホラー小説シリーズが大ヒットしていた。次の新作「マウス・オブ・マッドネス」の出版を控えていたが、ケインが失踪してしまう。出版社は彼に保険金を掛けていたため、トレントが調査することになったのだった。

小説の内容から手掛かりを掴もうと読み進めると、悪い幻覚が現れるようになる。そして、小説の舞台であるボブという場所が実在すると睨み、現地に向かう。すると、小説の内容そのままの舞台が広がり、ケインが現れる。

その町自体、トレント、世界丸ごとがケインの作った創作物だと知らされ困惑する。そして次ホラー小説の内容が次々に現実化し、トレントを襲うのだった。

現実と空想(小説の内容)の見分けがつかなくなっていく様子が面白い。CGではなく造形物として、映像内に具現化されていて、説得力が強かった。「イグジステンズ」もそうだったが、実態を伴って空想を描くからこそ、リアルと地続きに感じられる気がした。

精神病患者という信用できない語り手のモロローグ的に描かれるのもスパイスになっているし、作中の小説の映画化が本作というメビウスの輪のような構成、そしてオチが秀逸だった。
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