Genichiro

慶州(キョンジュ) ヒョンとユニのGenichiroのレビュー・感想・評価

4.7
初っ端のタバコを嗅ぐ仕草からして雰囲気出てる。極力切り返しを廃して、動線に対してカメラの動きも最小限。端正で丁寧だけどこういう系かー。これが続くとしんどいと思ってたら、、そんな単純なもんじゃなかった。いやーこれはすごい。長いタイムスパンで見せるのでなかなか大変だが、グッと集中して見ていると突然日常の風景が歪む。茶室で葬式で会った奥さんと会話をする場面では横から2人が同じカット内に収まっているが、ゆっくりとしたパンニングのあと元の位置に戻るとそれは彼の想像の世界であったとわかる。全く盛り上がらない飲みの席から喧嘩寸前になり、その後インサートされる異様な別室の様子、異様なカラオケシーンもすごいがこの一連の場面はイマジナリーラインを無視した切り返しによって予告される!女性がエスカレーターで男を追い越していく場面、シンプルなんだけど凄みがある。向かいに座っている女性が泣き出してしまい、それに対して画面外から「男が女を泣かすなんて」という声が聞こえる。茶室に光が差し込む場面や後ろに寄り添って回りながらカメラ撮影、室内で電気がついた瞬間にロマンスの消滅を絵面通りに見せてしまう場面、素晴らしい。日本人観光客が俳優だと思い込んでしまい、誤解を一切解かずに突然日韓の歴史観について言及される場面もとにかく異様ですごい。奈良みたいだなーってなるほど、古墳なのね。以下は佐藤結さんのトークセッションにて。チャン・リュル監督は異邦人、死に導かれる人たちの話を描く。ラストシーンは回想だと思ってたけど、インタビューを読んでると「この映画はここからまた始まるんだ」と思った、と(なるほどな〜)。
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