がく

欲動のがくのレビュー・感想・評価

欲動(2014年製作の映画)
3.7
レビューを見るとあまり評価が高くない作品ですが、私は好きでしたよ。

チヒロがクミに、「死に対して慣れてることに腹が立つ」と言い放った台詞。あのセリフは大好きでしたね。夫の死ですら、その職業から、どこか事務的に捉えてしまうクミがいることもわからなくはないと感じました。

イライラが募って性の欲動に駆り立てられているというレビューも目にしましたが、そういうことではないと思うんですよね。
この欲動は性ではなく、生を求めた結果だと思うわけですよ。

生きること、生きて欲しいと思うこと。
でもクミからすれば夫が、チヒロからすれば自分自身が、死と隣り合わせで、生に対しての執着が強いということなんだろうなと思いました。
性への欲動はそんな中でも生を実感できるものなのではないでしょうか。

日本では死ぬことは無になることであると(無宗教が故にかもしれませんが)いうことが一般的な思想かもしれませんが、バリでは違う。それは自然なこと。自然の流れなことなのです。

ラストカットは生命の源である海に入るチヒロと陸に残っているクミ。

目にしたレビューが少し批判的なものが多かった為、それらに少し対抗するレビューになってしまいしたが、人それぞれ考えや解釈があると思うので、このレビューを読んで不快に思う方がいらっしゃればとても申し訳ないなと感じます。
喧嘩を売っているわけではないので、お間違いなく!!

個人的にはとても好きな作品でした。
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