YANGJA

トイレのピエタのYANGJAのネタバレレビュー・内容・結末

トイレのピエタ(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

自分も膵臓と乳腺と腎臓の精密検査結果待ち、という状況の中、勇気を出してレンタルにて鑑賞。

28歳の青年が突然末期の胃癌を宣告され、たまたま側にいた女子高生を妹役にして医者の告知を聞く訳ですが、人ごとじゃないと思いました。
私は彼より7年ほど長く生きてますが、告知の時家族を呼べと言われたら呼べる人がいないので、彼と同じようなことをすることになる。現に、手術同意のサインと家族立会いがあったら来てくれ、というのを先日甥にお願いしたばかり。

転移が見つかったら、多分わたしも残りの時間は自分の一人暮らしの家で過ごすだろうな。
そして彼と同じく、自分の作品を作りながら死ぬんだろう。って思いました。

余命宣告を受けた際の心構えとアンサーのひとつの参考に、と思って観ましたが、そうそう答えなんて出ない。

でも、入院仲間にビデオ撮って貰ったりしてたのは、参考になりました。

映画は最後、青年の死で終わるわけじゃなくて、遺された少女のシーンで終わります。

人生も同じ。
死にゆく本人じゃなくて、遺された人のことを考えるのが世の中。
だから、生きた痕跡を作品や映像に残すのは、自分のためじゃなくてこの世に遺していく人たちの心の整理のためにやるんだな。

わたしも今まで写真嫌いでこの25年ほど全くといっていいほど自分では撮ってなかったけど、これからは探せば出てくるように、遺して行こうと思います。
生きた痕跡を、あらゆるところに点々と。
この物語の青年と自分が重なってよかったのは、アラサーで独身で恋人もいない、地元から離れた東京に一人暮らしという点。
そういう立ち位置で、残りの僅かな人生をどう過ごすか。

纏まることはない答えだけど、少しイメージ出来ました。

ところで、RADの野田洋次郎さんの演技、初めて観ましたけど、自然な感じがいいですね。こういう青年、普通にいそう。
イケメン俳優さんが派手な演技でやってるわけじゃなく、フツメンの俳優が淡々と静かにやってたのがリアルでよかったです。

あと、凄く個人的な感想ですが、主人公が窓拭き工というのもグッときました。主に、塗装工やってた自分に重ねて。
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