すえ

チャッピーのすえのレビュー・感想・評価

チャッピー(2015年製作の映画)
4.2
記録

前半は正直つまらなかった、というのもあまりにもキャラクターに感情移入できなかったから。とにかくみんな頭が悪すぎる、終盤に向けてのチャッピーという存在を形成していくため意図的なんだろうとは思うが、少し過剰すぎ。もう少し良心のある人間がいてもよかっただろう。

チャッピーという存在はパレットのようなもので、経験したもの全てを吸収する。そう、次々に新しい色の絵の具を追加していくのだ。しかし、そのパレットに一滴でも黒色が落ちてしまうと、その白無地は汚れ、混ぜれば混ぜるほど闇に近づいていく。大きな悪意が他の何もかもを包んで黒く変えてしまう。

そのチャッピーの心の形成部分にあたる序盤~中盤は、わざとらしさが強すぎて退屈した。
しかし、終盤のシークエンスは凄い。

意識という、古代ギリシアの時代から今に至るまで何千年も、ずっと答えの出ていない不確かな存在。『チャッピー』はその意識をテーマにしている、どれほどの勇気が必要だったろうか。なかなか怖くて切り込むことができない主題だと思う。他作品でも中々みることができない、あるとしても哲学的になりすぎてよく分からなくなったりしてしまっていたりする。しかし今作はシリアスになりすぎず、コミカルさを保ったまま意識についてアプローチしており、斬新な切り口だなーと。意識をそのまま不確かな存在として扱っていて、無理に答えを出して描く必要はないのかと関心。

『フォレストガンプ』の小ネタがよかった。

ニール・ブロンカンプはやっぱり銃撃戦が上手い、リアリティ溢れる。

2023,272本目 10/19 NETFLIX
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