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チャッピーのdaisuKのレビュー・感想・評価

チャッピー(2015年製作の映画)
4.0
AIが人間と同じ“意思”や“感情”を持ったらどうなるのか?

この手の物語の出発点は、どの作品もほぼ同じだ。
「AIが人間に近づいていく」
この視点・ベクトルで描かれている。

この作品も同じで、特に、子供から大人へと成長していく様子や、育つ環境が人格形成に大きく影響する点、ある事件が要因でバッテリー(命)に限りがあると知ったときに、AIが“生きること”を渇望する姿は、まさに人間そのもので「AIが人間に近づいていく」ことがより際立つ演出になっていたと思う。

これだけでも十分おもしろい映画なのだけど、この作品の真骨頂は後半部分で、「AIが人間に近づいていく」という従来の視点・ベクトルを逆手にとって「AIが人間に近づけるのだとしたら、人間がAIになることも可能では?」という仮説を打ち立てるところが最高にクリエイティビティ溢れている。

そのキーとなるのが“意思”や“感情”(作中では「意識」という表現だ)なのだけど、その手法について「現実的じゃない」とか「実際は無理でしょ」とか実現可能性をあれこれ批判するのはナンセンスだ。だって映画なんだもん。

これまでの物語手法を逆説的に捉えた視点と、“意思”や“感情”はデータ化して転送できるという仮説は、斬新かつ素晴らしいアイデアだと思う。そして何より観ていて、とてもワクワクした。
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