tomnack93

トイ・ストーリー4のtomnack93のネタバレレビュー・内容・結末

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ほぼ初見で2日間掛けて1~4まで一気に見切った。
完璧に物語を終えた『3』の続編として、世間の賛否があるのも理解できる内容だった。
個人としては、描きたいテーマと結末については非常に納得の行くものであったが、そこに至るまでの過程にブレと無駄が多いと感じた。

人格を持ったオモチャのウッディが、個人として新しい冒険に旅立ち、映画の枠を越えた地続きのこの現実のどこかで楽しく暮らしていると思わせるような結末そのものには不満が全くない。
仮にアンディの子どもに引き渡されたとしても、『3』の焼き直しにしかならなかっただろう。
これまでタブーであった、「オモチャの人間の世界への干渉」が多く見られたのも、ウッディが真に独立してこの世界で生きていくことを鑑賞者に受け入れてもらうための、アクティブさの演出として捉えればそこにも違和感はない。

ただ、「持ち主の元を離れ生きていく」選択が、あの演出ではどうしても、仲間より女(ボー)を選んだように見え、ウッディの選択の本質がブレているように見えた。
昨今のジェンダー観におもねってボーを大活躍させるのは良いとして、それならそれで、尚更「ハッピーエンドのために男女はつがいにならなければならない」旧世代の価値観を持ち込まずとも良いのではないかと考えてしまう。

結果、描きたいテーマに対してコンテンツの引き算ができていないように見えた。アンティークショップでの大立ち回りは、正直新キャラの登場ではなくこれまでの仲間たちを引き連れてでも良かったのではないか。
フォーキーも、自身のスペックから低い自己肯定感を持っている、というより単にゴミ箱の方が落ち着くだけの、ただの無気力なプー太郎に見えるし、このキャラクターを通して何を伝えたいのか掴みきれなかった。

監督が制作途中で不祥事にて交替したそうだが、1-3の実績がない監督がプロジェクトをリードするには、周りの意見をある程度聞き入れながら進めざるを得ず、描きたいテーマに対して魂の入りきらない作品になってしまったのではないかと邪推してしまう。映画には情熱を持った一人のブレない意志も必要なのだ。
営利企業・ゴーイングコンサーンとしての宿命とも言えるが、Pixerも成長企業としての葛藤を抱えているように読み取ってしまった。
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