このレビューはネタバレを含みます
「ゴーストの囁きに従いウッディはボーと共に広大なネットの海へ」
今シリーズの魅力の１つとして、オモチャ達の、表情豊かに動き回る様と、生気の抜けた無機質なオモチャ然とした様の描き分けの素晴らしさが有ると思う。
この２つの世界があるからこそ、このどちらも知っている私達観客は、無機質な表情のオモチャの中にさえ、彼らの気持ちを想像して感情移入してしまう。
この感情移入が爆発したのが前作のラストであり、屈指の名シーンだったと思う。
個人的にトイストーリーシリーズを初めて観たのはこの3からであるにもかかわらず、最後で号泣したのを覚えている。
（3の演出や場面の素晴らしさで言いたい事が山ほどあるけど、ここでは割愛）
1から観ていた人からしてみればそれ以上の感慨だったんじゃないだろうか
さて本作
初っ端から回想からの時代の移り変わらせ方とか、ボニーに付いて行くウッディとか、いきなり涙を誘う憎い演出（笑）
それはともかく、個人的に今作の名シーンだと思ったのは、ウッディとボーとの再会シーンで、これこそ先述した魅力の真骨頂だったと思う。
前作のケンとバービーの出会いのシーンも良かったけど、今回はもっと良かった。
しかし、良かったのはここまでで、先述した描き分けに置いて、絶対に越えてはいけない一線を超えてしまった演出により、非常に台無しになってしまったのは否めないと思う。
それは「人間に自分達の声を聞かせたこと」
フワフワ大作戦の時に、あくまでこれは妄想の範囲だったのでセーフなのだけど、何故か萎えるものがあったのは事実で、決定的だったのが、ボニーに忘れ物を気付かせる場面と、カーナビの案内音声の真似で、これにより自分の中で何かがガラガラと崩れ落ちてしまった。
物理的に人間世界に介入しているのに何を今更とか思うかもしれないけど「声」は何か違う気がするんだよね。
ここはあくまで、ナビの目的地をリモコンで設定し直すとか、物理的な介入にこだわって欲しかった。
てな理由で、今作はちょっとなぁって感じでした。
