『トイ・ストーリー3』で完璧な結末を迎えた『トイ・ストーリー』シリーズ最新作。ネタバレ全開です。
新たな持ち主であるボニーの家で、ウッディは少し切ない日々を送っていた。ボニーのお気に入りにはなれず、遊びの時間もクローゼットの待機組常連。それでもボニーのことを想うウッディは、助け舟を出してあげたりと忠誠心を忘れない。ある日、幼稚園の体験に行ったボニーは使い捨てフォークを使って【フォーキー】というオモチャを作る。すっかりフォーキーが気に入ったボニーだったが、フォーキーは自分をゴミだと思っているのですぐにゴミ箱に向かってしまう。そこでウッディは、フォーキーの教育係兼護衛を買って出る。
幼稚園入園を前にキャンピングカーでのドライブ旅行に出かけたボニー一家。しかし、ドライブの途中でフォーキーが窓から逃げ出してしまう。慌てて追いかけるウッディ。ふたりはなんとか一家が向かった街へと辿り着くが、たまたま通りかかったアンティークショップでウッディは懐かしいものを発見し……。
エリートコースから外れたかつてのエース社員が、初老を迎えて窓際族になっているようなスタートで少々胸が痛んだ。オールドファッションな戦略を提案しても次の世代にはうざがられ、昔を懐かしむだけの日々……ウッディ―!!!
でもって本作の陰の主役は、ウッディと再会するボーだ。前シリーズで他の家にもらわれていったボーは、色々あって今は持ち主不在のオモチャになっているらしい。お嬢さん然としていた数年前とは違い、様々な経験を乗り越えてすっかり逞しくなっているボー。オモチャというものに対する概念も一新されているようで、相変わらずの価値観に縛られて後先考えないウッディをことあるこごとに叱り飛ばす。
また、ウッディの発声器を狙うギャビー・ギャビーというサブキャラも登場。発声器が壊れているから子供に選んでもらえないと思い込んでいるギャビー・ギャビーとの関わりも、ウッディを変えることになる。
ハッキリいえることは、今までの『トイ・ストーリー』とは全然違ういうことだ。これに尽きる。「オモチャは持ち主の所有化に置かれ、持ち主に尽くす存在」という大前提が根本から崩れる。持ち主にも色々な子供がいるように、オモチャにもそれぞれの価値観や想いがある。物語は、持ち主に付随したオモチャというフェーズから、オモチャ自身が主体になり得るというフェーズへと明確に移行した。これを是とするか否かは意見が分かれるだろう。
私個人の意見としては、アリ。個人的に望む展開は下記の通り。
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トイストーリー4は今までとは違うフェーズに入ったわけだけど、そうしたからにはこのフェーズでしっかり着地させてほしい。個人的に希望する展開としては①数年後、アニメーターになったアンディは30代前半に差し掛かって、自分の企画で作品を作りたいと熱望するようになる。でも良いアイデアが思いつかない。②そんなアンディの現状を知ったウッディは、何とか力になりたいと考える。③ウッディと偶然の再会を遂げたアンディは大喜びで過去を懐かしむ。④次第に、アンディはオモチャの仕業としか思えない不思議な現象に気付く。⑤アンディは色々な検証を行う。⑥結局、本当にオモチャの仕業かは分からなかったものの、アンディはオモチャが主役の物語を思いつく。⑦「トイ・ストーリー」誕生!!(その間、アンディに気付かせたいウッディと、それを阻止しようとする他のオモチャとの攻防戦が繰り広げられる)
……と、「トイ・ストーリー」そのものに繋がっていくといいなと。理由としては→今回ウッディたちは持ち主から離れたものの、里子斡旋業務までしか行動を広げられていなくて、オモチャ主体とまでは言い切れない中途半端な状態で終わっていたから、最終的に【オモチャの存在を顕示する】まで到達した方がいいのではないかというのがひとつ。また、今回は全体的に人間に対して干渉しすぎていたので、それを【人間に気付かれる】まで描き切る伏線だと思うことで納得したいのがひとつ。というわけで、私は更なる続編を臨みます。
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この方向性に舵を切ったのならば、そのままキチンと終結させてもらいたい。
ただ、今回残念だった点もある。まずは、バズの動き。相当アホだったのもガッカリしたが、「内なる声」に従ってウッディを見捨てたシーンはさすがにダメでしょう。ウッディの言葉を文字通り「内なる声」(内蔵されている声)と解釈したまでは良かったが、最終的にはそれに抗って友情や連帯を選択しないとさあ。これまでの2人の関係を全否定するような雑な処理はやめてほしかった。