このレビューはネタバレを含みます
柔らかい風合いと光が物語を演出し、シンプルなストーリーの中に深みを出していた。光を背にして暗いブランコの方に向かう豚君の画がとても印象的で、心の落ち込みがよく伝わってきた。
動物達のかわいさとは裏腹に、いじめが横行する街。
豚は聖書の中でも扱いが悪く、日本においても豚に真珠と言われるように、本来の価値が分からないものと蔑まれている。ヒンドゥー教やイスラム教においては、豚は不浄のものとして食べることも禁じられている。
豚は、世界的な共通認識で、何らかのネガティブなイメージを持たれている存在。
そんな世界にあって、先入観なく新しくやってきた転校生のキツネ君にとって、自分のノートを拾い届けてくれた豚君は心優しく、嬉しかったんだと思う。
先入観や、見た目の汚れでもって、判断するのではなく、心で感じる事が大事なんだと教えてくれる。
そして、友の存在の大切さ。いざとなった時、身を呈しても守ろうとする覚悟。
動物のキャラクター達を通して客観的に世の中を見せてくれた本作では、
人を嘲笑う事が、いかに醜いかを学ばせてくれ、人としてどうあるべきかを教えてくれた。
子供に是非見てもらいたい作品。