高度成長時代。
郊外の団地に住む加藤剛は、
旅行会社の会社員。
妻は自宅で近所の主婦たちを集め、
フラワーアレンジメントの講師をしていた。
そして結婚10年くらいになるこの夫婦には子供がなかった。
加藤はバス通勤の帰り道、
偶然同じバスで馴染みの女性岩下志麻と出会う。
岩下はさらに郊外の人気の少ない集落の一軒家に、
6歳になる健一という子供と暮らしていた。
加藤は岩下の家に通うように。
家庭では味わえない落ち着きを覚えるようになり、
ほどなく二人は不倫関係に。
健一の寝息の聞こえる中、
二人は愛し合うのだが・・・
『6歳の子供に殺意はあるのか』
この作品のキャッチコピーです。
最初は人見知りしていたこの子供が、
次第に加藤になつくようになっていく描写は微笑ましいが、
突然子供が殺意を向けてくるところは相当怖い。
何を考えているのか、
或は何も考えていないのか、
潜在的な殺人意識が垣間見えるこの少年。
思わず『オーメン』のダミアンが最後に微笑むシーンを思い出したよ。
話の運び方が巧いね。
流石脚本橋本忍。
ラストは加藤の幼児体験が明らかになり、
なるほどだから子供ができなかったんだな・・・と。
いやあ、堪能しました。
原作、松本清張。