尿道流れ者

幕が上がるの尿道流れ者のレビュー・感想・評価

幕が上がる(2015年製作の映画)
2.0
みんなの孫娘、有安杏果ちゃん(6才)が小さな身体で一心に牽引するももいろクローバーZ主演の映画。監督に一抹の不安を抱きつつも、我が孫である有安杏果ちゃんが拙い滑舌でアウアウ話す可愛らしさや、躍動するシーンなんてものを楽しみにしていた。ただ単にそんなシーンを待ち望んでいただけなのにっ!楽園を夢見ることが罪であるかのようにっ!全てを無にかえす見事な演出。

アイドル映画にもなりきれず、青春映画にもなりきれず、そんな中途半端な状態なのにもかかわらず、監督のつまらない遊び心を見せつけられる始末。扱いきれてないことをごまかしてるだけの映像がとても悲しく目に映る。
ももクロちゃんの持つ陽の魅力は幼児性に基づいた特殊なもので、単に女子高生の役を与えたところでそこに影を作り出すことはできない。かの名作「櫻の園」を模倣するような映画の締めをしていたが、設定としての影は存在しても、少女一人一人の存在に影を落とし込めていないままなので、そこに不穏なアンサンブルは決して産まれない。
櫻の園や五つ数えれば〜のような女子高生物語と決定的に違うのは、登場人物やその雰囲気に生理臭さがないこと。子供でありながら大人という中庸な存在の崩れ落ちそうな危うさがこの映画には全くない。だからアイドル映画としても大人でも子供でもない存在が持つ特殊な魅力がないし、青春映画としてもモラトリアムや大人になることの持つ不安感のようなものが全く伝わらない。

ももクロちゃんを主演にするならば突き抜けた明るさを持ったエクストリームお遊戯に徹して欲しかった。なぜ大林宣彦御大が絶賛したのか?あなたのせいで期待が高まり過ぎましたよ。罪滅ぼしとして早く新作作ってください。