大傑作。秀逸すぎる岨手由貴子の演出に息を呑む。街灯の灯りが眩しい田舎の夜道、犬の散歩をしている緑、その横を軽トラがクラクションを鳴らしながら荒々しく横切って行く、呆気に取られ後ろのフェンスに寄りかかろうとすると、フェンスの鍵は閉まっておらず、緑は水路に急転直下落っこちてしまう。というこの一連の流れだけでも面白く秀逸なのだが、その後、真央が助けに来てくれると"道路"と"水路"で物理的に"上"と"下"の位置関係が生まれることで、この物語が常に示してきた構造がしっかりと可視化される。というこの妙。神秀逸。岨手由貴子はマジ。それと岨手由貴子のエドワード・ヤンフォロワー加減に感服した。隅から隅までエドワード・ヤン。再現度高すぎんだろ。『恋愛時代』のブルーレイの中で濱口竜介と喋ってるだけあるな。しかも撮影は佐々木靖之と。そりゃそうだ。そしてデブの姉ちゃんはエドワード・ヤンを知っているんだろうし、ｸｰﾘﾝﾁｪも当然観ているんだろうし、この映画も観るんだろうな。あのコンビニ店員も観てるかな。
