きゃら

ナイトクローラーのきゃらのレビュー・感想・評価

ナイトクローラー(2014年製作の映画)
3.6
上昇志向からか人の道を外れていく男性を描いたサスペンス。

派手さは無かったけれど、ジワジワと狂気を帯びていく姿が丁寧に描かれ、引き込まれました。

職が無く窃盗も厭わない主人公が、ある日事件や事故の現場を撮影した動画をテレビ局に売るパパラッチの仕事を知り、自らもその仕事を始める…というお話。

孤独そのものであるこの主人公、やる気と野心は十分ある様子。
持ち前の大胆さを使い事件現場で撮った動画がテレビ局に売れた事に味をしめ、その仕事をしていくうちに承認欲求も金銭的にも満たされ、どんどんと行動がエスカレートし狂気を帯びていく様子が描かれます。

はじめのほうの主人公の何を考えてるのかわからないところ、世間から少しズレてる感じ、女性との距離のとり方が少しおかしいところは映画タクシードライバーの主人公を思い出しました。

だんだん見ているうちにこの映画の主人公はサイコパスであると感じるけれど、生まれつきなのか困窮と孤独がそうさせたのか…両方なのかな。

主人公を演じるジェイク・ギレンホールさんがハマっていて、主人公の狂気を見事に体現しています。

視聴率を稼ぐために事故や事件の被害者の姿を露骨に写した過激な動画を喉から手が出るほど欲しがるテレビ局の姿も描かれ、放送する側も視る側も倫理としてどこが過激さの境界線なのかと考えさせられます。

この映画、ほとんどが夜のシーンでLAの都会だけど少し寂しげな夜の風景がどこか美しいです。

ラストは予想したものではなく意外だったけど、このラストには皮肉と風刺が込められているのではないかと思いました。

終わってみるとテレビ局にもサイコパスが居たので、サイコパス✖️2ですね。
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