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V/H/S ファイナル・インパクトの消費者のレビュー・感想・評価

3.4
・ジャンル
POVホラー/ファウンドフッテージ/オムニバス

・あらすじ
1. 「Vicious Circles」
アマチュアカメラマンのケビンは常日頃から最愛の恋人アイリスを撮影し仲睦まじく過ごしていた
しかし彼の祖母がまともな仕事に就く様に口汚く罵った事から全ては変わってしまう
名声を得る為、刺激的な映像を撮る事に飢えていくケビン
そんな中、彼らの家の近所で激しいカーチェイスが勃発
止めるアイリスを無視して撮影に向かう彼だったが乗り遅れた事でその怒りを彼女にぶつけてしまう
すると突如としてアイリスの様子がおかしくなり車道に飛び出すとカーチェイス中の車に拉致されてしまう
そしてその直後、ケビンのスマホには彼女の姿が映り出す
やがてそれは謎の映像と共に見知らぬ街の人々の元への広がり始め…

2. 「Dante the Great」
2年前までトレーラーパークに暮らすただの貧しい青年だったジョン
彼は手品を追求していたが才能に恵まれず仲間内でも失敗を繰り返していた
その矢先、どこからかフーディーニも一時所有していたというマントを入手
すると彼には手品の枠を超越した魔術の力が宿り、”ダンテ・ザ・グレート“の名で一躍大スターとなった
しかし助手のスカーレットが彼の隠し持っていた凶行を収めたビデオテープを発見した事で事態は一変
そこに映っていたのは魔力の代償としてマントに生贄を捧げてきた一部始終だった…

3. 「Parallel Monsters」
スペインの発明家アルフォンソは密かにとある機械の開発を日夜行なってきた
努力が実り完成したその機械は並行世界とのゲートを開く物
そして彼はもう1人の自分と対面を果たし、互いの世界を交換してみる事に
名前、人生、妻、発明、2人のアルフォンソとそれぞれの住む世界は一見全く同じ様に見えたのだがやがて恐ろしい違いが露わになっていき…

4. 「Bonestorm」
スケートボーダーのジェイソンとダニーはテイラーというカメラマンを雇い違法スレスレのスケボー映像の撮影をしていた
なかなか満足の行く物が撮れない中で刺激に飢えたテイラーは彼の知人ショーンも交えてメキシコの街ティファナへの撮影旅行を持ちかける
治安の悪さを懸念していた2人だったが押されるままに渋々4人で現地へと向かう
しかしそこに待ち受けていたのは想像とは異なる恐ろしい存在だった…

5. 「Gorgeous Vortex」(特典映像)
アートフィルム的な作品なので割愛

・感想
POV/ファウンドフッテージ/モキュメンタリー強化月間DAY-24
「V/H/S」シリーズ3作目にしてリブート前ラストの作品
原題での副題が「Viral」となっている様に注目、名声、成功を求めた者達の撮影した映像というコンセプトになっている

前作が結構良かっただけに正直期待外れだったかな…
映像のヴァイラルヒットを求めて暴走しかけた青年といつしかまともに向き合ってもらえなくなってしまった恋人を起点に混沌を巻き起こす映像が拡散されていく、という大枠のストーリーは良かったんだけど上手くそれが活かされてなかったと思う
オチは悪くなかったんだけどね…
加えてゴア描写も激しくはあっても前作の様な生々しさがなくチープでマイルドな物が多かったのでその面でも満足には程遠かった

展開や描写、オチも含めて面白かったのは3本目のみ
特にオチは並行世界という設定を上手く使った物になっていたと思うし因果応報のストーリーとしても良かった
映像の世界観が好きだったのは4本目
スケボービデオ風のカメラワークや音楽と共に繰り広げられるカルト集団や死者達との戦闘はゴア描写はともかく単純に観ていて楽しかった

そして評価が難しかったのが特典映像
分かりやすいストーリーがある訳ではなく次々に画も入れ替わっていくのでメッセージ性を汲み取っていくしかない感じ
恐らく言わんとしていたのは娯楽化された顔の見えない大衆による性的搾取、それが過激化した結果発生していく死、そういった状況に立ち向かう女性の格好良さや美しささえも実際は背後に更なる巨悪がいて利用された物
その一連の歪んだ構造を大衆は安全圏から更に娯楽として消費している
といった所?
映像自体はスタイリッシュな雰囲気なんだけど何せ本編では良い方向にも作用するチープさがこちらでも見られるせいで何とも言えない
決して悪くはないんだけどそういう風刺がしたいなら本編のメインストーリーでもっと頑張って欲しかった…

これで一旦3部作は完走
後はリブート後の3作だけどどう変わっているのか?
むしろ同じ様な世界観なのか?
どちらにせよ1作くらいは前作くらい振り切った物があると良いな…
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