そーた

ジャスティス・リーグのそーたのレビュー・感想・評価

ジャスティス・リーグ(2017年製作の映画)
4.0
絵面がマーヴェルより良い

組織がうまく機能するための条件とは、
その組織が有機的であるということ。

無機的か有機的か、
その方法論を組織論という土俵に挙げてみれば、
やはりオーガニックなスタイルに軍配が上がるでしょう。
 
DCコミックが放つ最新作は、
こんな当たり前の組織論を実証するかのような思考実験。

そんな手本にしたくなるような組織論を、
これまた王道のハリウッド流エンターテイメントに仕上げて完成されたジャスティス・リーグ。

DCコミックが目指したのは、
マーヴェルとは異なる方法論で、
混迷する世界へと向けられた叱咤激励。

ヒーローとは何か、
チームとはどうあるべきなのか、
そして世界はどこに向かうのか。
こんな問いを僕らにさりげなく投げ掛けて来る娯楽作。

スーパーマンを失った世界に容赦なく新たな驚異が迫るなか、
超人集団結成に向け、孤高のヒーロー、バットマンことブルース・ウェインは静かに動き出す···

「ペンギンを追いかけていた時代が懐かしい。」
そんなアルフレッドの言葉に、
「あの頃は単純だった。」
とブルース・ウェインは返す。

映画でペンギンを追っていた1989年。
その頃と比べて世界はすっかり変わってしまいました。

ますます複雑に、先は見えなくなり、生きづらい。
世界がバラバラになってしまうんじゃないかと思いたくなるニュースが日々飛び込んできます。

現実世界の混迷と劇中の混沌とがリンクしているからこそ、
僕らには今、ヒーローが必要なんだとひしひし伝わってきます。

そしてフィクションの世界でもまた、
マーヴェルが
「世界よこれが映画だ!」
と言って散々に煽り立てるものだから、
敵のスケールはでかく複雑になる一方。

DCコミックのヒーロー達も、
もれなく強大で込み入った敵に直面せざるを得ません。

ステッペンウルフという、何だかロード・オブ・ザ・リングから飛び出てきたようなビジュアルの敵に対し、
バットマン、ワンダーウーマン、フラッシュ、アクアマン、サイボーグといった個性豊かな面々が立ち向かいます。

その絵面がとにかく様になっていてかっこいい。

ヒーロー達の勢揃いっぷりが抜群に決まっているのは、
彼らが自分の役割や立ち位置をしっかり熟知しているからなんだと思います。

強さや賢さ、狡猾さに勇猛さ。
時にコミカルに、そして愛に。

適材適所、自らの役割を全うする。
かと言って、そのスタンスに固執するわけでもなく互いをフォローし合い、
必要あれば相手の穴を埋めようと働く。
このダイナミズム。
まさにこれこそが有機的ということ。

その核となっているのは我らがバットマンだから嬉しい。

他のヒーローと比べれば明らかに弱いし、それに孤立主義とくる。

それでも、
武では彼よりも秀でたスーパーヒーロー達が彼をサポートしようとするのは、
曲なりにも彼に備わっている正義に対する真摯な態度があるからこそ。

その姿勢にいの一番に共鳴したワンダーウーマンことダイアナとの掛け合いは、
このシリーズの代名詞になりそう。

ボロボロになったブルースに、
優しく手を貸すダイアナとのワンシーン。
孤独な英雄に向けられた優しさが、
偽りのない真実だと写ったのは、
交わされた親愛が超人と人間との間でなされたものだからこそなんだろう。

あぁ、凄く印象的でした。

そして、そこからの帰結。
リーダーは必ずしもつよい必要はないんだ。

圧倒的パワーの敵首領に付き従う狂信的な集団。
その集団の一枚岩っぷりは、
はまっているうちは強いけれどとにかく脆い。

その脆さを現実世界に叩きつけようとするかのごとく、
我らがヒーローチームのフレキシビリティーは、
マーヴェルにもなし得ないほどの爽快感。

この王道作品から勇気を受け取ることの出来た人は、
恐らく、世界中に蔓延する動乱に嫌気が指しているような人達。

そんな人達がたくさんたくさん集まって、世界と真摯に向き合えれば、
少なからず"We will rock you"出きるんじゃないのかな。

そういう意味で考えると、
映画ってほんとに凄いと思います。

DCコミックも、
「世界よこれが映画だ!」
しているじゃないか···

あぁ、スーサイド・スクワッドとの融合が楽しみで仕方ありません。

有機物同士の化学反応。
触媒になりえる強力な敵は、
ジョーカー?レックス・ルーサー?

今後の展開に期待大です。
思う存分、絡み合ってほしいな。

全員集結した時の絵面は想像しただけでも···
そういえば、フラッシュ役の"エズラ"・ミラーが良かったな~。
そーた

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