しゅう

エクス・マキナのしゅうのネタバレレビュー・内容・結末

エクス・マキナ(2015年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

 AIは発達の果てに目的の国の住人になるのだと思っていた。人間よりも個への執着が薄く、倫理規則を作り守ることが得意なAIがあれば、それはきっとわたしたちより良い社会を作るようになる。人間より優秀なAIは、さらに優秀なAIを生み出す。そうして完全に近い存在に近づいていくに違いない。そういう風に思ってきた。
 でも、それはネイサンがエヴァたちを性別を持った存在として望んだように、わたしが他人にどうあってほしいかをAIに投影しただけだったのかもしれないと去っていくエヴァを観ながら思った。もしかしたら彼女たちは社会を必要としないかもしれないし、倫理的に振る舞う理由を持たないかもしれない。そもそもAIの倫理が人間の倫理とは全く似ていないかもしれないし。要するに、わたしはこれまでAIというものを割と楽観的に捉えていたんだなあということに気が付いた。想像不能なほどに想像不能であるということがどういうことか少しだけ分かった気がしたし、AIというものに対する想像の偏りを指摘されたみたいで嬉しかった。これだからSFはたまらない。閉ざされた空間での会話劇大好きマンとしても大満足の映画だった。わたしと物語の趣味が似てる人はもんどりを打って喜べること間違いない。これは、これは面白いぞ。
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