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アバウト・レイ 16歳の決断のろーたすのレビュー・感想・評価

アバウト・レイ 16歳の決断(2015年製作の映画)
3.5
トランスジェンダーであるレイが男として再スタートをするストーリー起点や、トランスジェンダーの娘、シングルマザー、レズビアンの祖母という3世代の家族設定はとても興味深かったです。
そして、レイを演じたエル・ファニング。
的確な喜怒哀楽の表現力も素晴らしいですが、私は彼女の何もしてない何も話していないその無表情こそ好きです。


一方で、肝心の中身が微妙でした。
生まれてからずっと苦労の連続だったレイにとっての念願の転機。
しかし、母親や祖母の不器用さばかりが目に障ってしまった。
祖母はレズビアンという立ち位置だから取れる言動をするのかと思っていましたが、ただ自分のペースで茶々を入れるだけに映ってしまいましたし(失礼な言い方ですみません)、トータルで弱々しい印象な母親。
態度を改める母親や祖母に対して、拗ねる事なく笑顔になるレイも、そんな都合良く行くものか?と思ってしまった。レイがいい子過ぎないか?
不器用だったと言えば片付きますが、展開が進むにつれて、どんどん現実味は薄まっていった感じ。ラストの全員集合なんてまさにそうでした。


また、如何にもレイの再スタートが主軸であるような邦題ですが、原題three generationsとあるように、レイの再スタートを基盤にしたヒューマンドラマですから、もう少しその意図を汲んだタイトルにして欲しかったです。



治療の説明を受ける4人の足元や、車内で揺れるくしゃくしゃの離婚届などを用いた身体や精神状態の表現はとても印象に残りました。
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