ヤスマサ

奴らを高く吊るせ!のヤスマサのレビュー・感想・評価

奴らを高く吊るせ!(1968年製作の映画)
3.8
冤罪で私刑を受けた男の復讐を描いたウェスタン・アクション。
牛泥棒と持ち主殺害の群れ衣で私刑を受けた元セントルイスの保安官ジェド・クーパー(クリント・イーストウッド)は、一命を取り留めるとオクラホマの保安官となり、自分を私刑した9人の男たちを追う。

「復讐」と「正義」を問うている、分かり易いストーリーで面白い。
牛を川を渡らせるのどかなシーンから突然、ジェド・クーパーが身に覚えのない理由でリンチを受けるというシーンで始まるが、理不尽で怒りを覚える惨状は、ジェド・クーパーだけでなく、映画を観ているものにも復讐心を植え付ける。
それでも、命を救われたジェド・クーパーは復讐に駆られるわけではない。
はじめは判事から生きて連れて帰るよう言い付かったからか、元保安官という資質からか…、「復讐」に寄らず、「法」の下の「正義」に身を投じる。
しかし、犯罪に対して無慈悲で容赦のない判事との軋轢や、見せ物となっている死刑執行の現実に、ジェド・クーパーの「正義」への思いは変わっていく。
かつて夫を殺され復讐心を持っていたレイチェル・ウォーレン(インガー・スティーヴンス)がジェド・クーパーの復讐心を問うシーンは、彼の「正義」に対する心情に触れた所だろう。
全てが解決するという終わり方ではないので、ジェド・クーパーの活躍はここ始まった的にも見える。
秩序のない西部開拓時代に、それぞれの「正義」に折り合いをつけて無難に済ませた感じがなくはないが、イーストウッドの魅力を充分感じられる作品でもある。
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