パンケーキレンズ

奴らを高く吊るせ!のパンケーキレンズのレビュー・感想・評価

奴らを高く吊るせ!(1968年製作の映画)
3.5
イーストウッドが設立した映画会社マルパソが世に送り出した最初の作品♪

『荒野の用心棒』から『続・夕陽のガンマン』まで、セルジオ・レオーネ監督のマカロニウェスタン三部作で有名となった彼は、ハリウッド復帰第一弾に、大作へのオファーを断り、この地味ぃな西部劇を選びました

イーストウッド曰く
西部劇の枠組みの中で死刑制度を問うというアイデアが気に入った。らしい

ここら辺が監督として彼が昔も今も幾度となく果敢に描き続けているテーマの、根幹を成しているような気がする

そして多分このことを知らなければ
この映画に対する印象も全く違っていたかもしれない

銃の撃ち合い、男たちのにらみ合いや駆け引きといった見せ場をこれでもかと削ぎ落とし、ユーモアの欠片もなく・・・
法とはいったい誰の為にあるのか
何を以って正義と言うのか
という暗いテーマを盛りこんだなかなか重い仕上がりでした

無実の罪を着せられたジェッド・クーパー(C・イーストウッド)は、法の裁きも受けずに吊るし首に。
寸での所で命拾いし保安官としてカムバック
復讐へと立ち上がるのですが・・・

保安官となったジェッドは捕らえた犯罪者たちに
(自分には下されなかった)正当な法の裁きを下す為
血まみれ砂まみれになって護送するのです
それでも問答無用で吊るし首になってしまう現実
結果として冤罪に加担することになってしまった事実

保安官のスラっとした彼の姿に惚れ惚れしつつも
自分に課せた復讐と正義の間で葛藤する姿がよかったです

監獄に出入りする女性とのキスシーン
二人の間に立ちはだかる亡霊の存在がまた、強いメッセージを放っていました