もとまち

闇動画8のもとまちのレビュー・感想・評価

闇動画8(2013年製作の映画)
3.4
『おつかれさま』
昔懐かしき2ちゃんねるであった怖い話が元ネタ。映像自体はありがちなもので、大して怖くない。ビデオカメラ撮影のくせしてやけにカーナビの音声が鮮明に聞こえるなと思ったら、そういうことか...と萎えてしまった。凝った音響設計が逆にリアリティを削いでいて、恐怖感を半減させてしまっている。

『爆光』
これは笑った。Twitterあたりに載せたらちょっとウケそうな気がする。

『帰り道などない』
なんてことないプロットだが、それを〈集団自殺の参加者〉による主観視点から描いているのが切り口としては新鮮。でも、撮影者の行動を「とまどう撮影者」「道を変える撮影者」みたいにト書きレベルで説明するテロップがウザくて、内容にあまり入り込めなかった。撮影者が最初からやたらに怯えてるのも意味不明だし、隠れ方が下手すぎるし、映像としての突っ込みどころが多すぎる。

『洞窟』
ノーコメント。

『邪教』
世間での評判が良いだけあって、これはそこそこに良かった。どうやって見つけてきたんですか?って素直に聞きたくなるくらい廃旅館のロケーションがすごい。朽ち果てた大浴場(?)の異様に広い空間や、ドアがずらりと並んだ二階廊下の奥行きの禍々しさ。儀式に使用されたと思しき犬の死体も絶妙にリアルだし、尻尾を下にして吊るしているところに作り手の厭〜なセンスを感じた。突如立ち込める濃霧、二階の窓に佇む不気味な人影、そして撮影者と旅館の間の距離が生む巨大な闇によって、現実から隔絶された異空間を端的に表現してしまう演出力の高さにも慄いてしまう。友人(の姿をしたナニカ)がありえない角度からこちらを見ているのも超怖い。欲を言えば最後にもう一つくらいインパクトある一撃が欲しかった。あと、『おつかれさま』のカーナビと同じで、念仏の声に露骨な編集の後付け感があるのはどうかと思う。

闇動画シリーズの中では巷でいちばん評価の高い『闇動画8』だが、個人的にはそれほどそそられる映像は無かった。より演出が洗練されている12や14の方を推したい。
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