とり

ミス・シェパードをお手本にのとりのレビュー・感想・評価

4.0
相手や場の印象がアランの心象通りに受け取れる。
中でも彼の目に映るミスシェパードは、不潔で厄介な素性に謎の多い隣人と呼ぶには近い位置にいる他人であり
難しい性格ってレベルじゃないぞという偏屈で自己中心的
感謝を持ち合わせていない絞め殺したいほど憎たらしい老女で
捨てきれない親切心と振り切れない情を向ける対象。
一面では表現しきれない彼女という複雑で強烈な個性、老醜、不意の哀しさ、希の可愛らしさ。
マギー・スミスという稀有な女優は作中のアランを書くミスシェパードを完璧に体現していた。
気品さえ感じると描写すれうば、その横顔は高貴で
親切に付け入るのも計算だといえば狡さを覗かせる。
舞台でこの作品が上演されて15年。ミスシェパードがアランの家の庭先で暮らした年月と同じだけ、作品はマギー・スミスとアラン・ニコラスによって、現実とほぼ実話の舞台を間で熟成したのだろう。
舞台演出が是非観たいと思った。

ネタバレ込みの感想はコメントに続くー。
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