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神々のたそがれのmitinkotのネタバレレビュー・内容・結末

神々のたそがれ(2013年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

とにかくひたすら、泥と血と鉄、それから肉がひしめき合っている映画。
カット、ストーリー、演出いずれをとっても日米にあるようなドラマツルギーや画面描写から大きく逸脱しており、とんでもないエネルギーの映画だった。
面白いか、心が動かされるか、観念的に何か得るものがあるかといえばない。ただこの画面いっぱいに広がり3時間も繰り広げられる野蛮な劇場を映画館で見るというのは何か悪夢にも似た体験となり(しかも新文芸坐のオールナイトで3本目となればなおさらのこと)、少なくとも私の海馬に大きなキズを残したように思われる。

間違いなく一般的には受け入れがたいというか受け入れられてはいけない類映画なのだろうが、カルトな映画志向があるものにとっては一見の価値はあると思う。良き方に作用するかどうかはわからない。

以下特徴的なところをあげるがこのような演出が悪夢的なものを体験させる作用となっていると思う。

・ひたすら長回しで続く怒涛のダイアログ
・登場人物が代わる代わるフレームイン/アウトし、画面転換がほとんどない(ように見せている)
・徹底的に不衛生、野蛮に描かれた中世の世界観、セット、人物(ほとんど異形)
・ストーリーの救いの無さ、広げられるゼロサムゲームの無力感

異形のサーカスのような映画はフェリーニなどでもあるが、こちらはネガティブで陰鬱な悪夢である。精神的虚無と疲労、映像的野蛮とエネルギーにまみれて非常にダウナーな気分で映画館を後にすることができる。
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