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神々のたそがれのzunzunのレビュー・感想・評価

神々のたそがれ(2013年製作の映画)
3.5
醜悪な描写と悪趣味なユーモア、数々の愚行と奇行、無知秩序で混沌とした世界観。
ヒエロニムス・ボスの地獄絵図の中にでも迷い込んだような錯覚を覚える。

ダンテの神曲(地獄編)には詩人の案内人がいるが、この作品には案内人など存在しない。
ただ、傍観者としてこの世界観に放り込まれる。それは無編集なドキュメンタリーをひたすら観させられているような感覚に近い。

“2001年宇宙の旅”の謳い文句にある『観るのでなく体験する映画』と言う表現がしっくり来るように思えた。
なぜなら、汚くて、グロくて陰惨で、野蛮なカオスの世界に3時間居続ける厭悪な映像体験だから。
この感覚は主人公の神=ルマータの厭悪感と諦念に近いものなのだろうか?
((もし映画館でなく自宅で鑑賞していたら間違いなくこの作品の世界から逃げ出していただろう))

この作品が面白いかと問われれば、間違いなく“クソみたいな作品”と答えるだろう。
では、観て何も残らなかったかと問われれば、“強烈な体験をした”と答えるしかない。

私にはこの作品は難解過ぎて理解不能でした。
だから、誰かにこの作品の解釈を乞い、この困惑した頭を落ち着けたい。

終始、不思議感覚にさせる怪作映画でした。

本来なら採点不可能な作品です。
なので…当たり障りのない採点になってます。



今作にあまり関係ないのですが、昔なら入っていただろう所に“ぼかし”が一切入っておらず、この作品の世界観を台無しにしてなくて良かったです。

最近スタンリー・キュブリック特集が映画館で組まれていて“時計じかけのオレンジ”や“アイズ・ワイド・シャット”などを鑑賞したのですが、以前にはあった“ぼかし”がない状態で上映されていました。
映倫の基準が変わったのでしょうか?
((こっちとしては大歓迎ですけど…))
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