ノラネコの呑んで観るシネマ

神々のたそがれのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

神々のたそがれ(2013年製作の映画)
3.3
これ、90年に公開された「惑星アルカナル」と原作が同じ。
即ちリメイクなんだけど、中身は寿司とボルシチくらい違うw
人間の空想力って面白い。
中世の様な惑星に、調査のためやって来た地球人のドン・ルマータは、星の住人たちに神の様に崇められる。
モチーフは賢者狩りで、賢者がいなくなり白痴の様な人々がエンドレスに争いを繰り広げ、世界は暗黒時代化。
それに巻き込まれた神様は困ったという話で、汚物の中を這い回る様な世界観が圧倒的。
臭いや手触りまで感じられそうな、画的なパワーは一見の価値あり。
全編に漂う、アヴァンギャルドなソビエト感も印象深い。
しかしさすがに、この内容に177分は長過ぎ。
世界観と演出力で持つのは、せいぜい1時間。
同じようなシチュエーションが延々繰り返され、飽和点を超えてしまった。
これは監督が制作中に急逝し、息子が仕上げた事もあるんだろうが、切り所を見失ってる様に思えた。
どこぞの文芸大作みたいな邦題にも違和感。
これはたまたま神を演じた主人公が、自分を含め糞尿まみれで殺しあう人間を、「こんなもんでしょ?」って達観したブラックコメディ。
原題どおり単数の「神様はつらいよ」が相応しいと思う。