けーはち

余命90分の男のけーはちのレビュー・感想・評価

余命90分の男(2014年製作の映画)
2.8
すぐ怒りがちの男(ロビン・ウィリアムズ)が脳動脈瘤を発症。彼に詰め寄られた女医(ミラ・クニス)はパニクって、余命「90分」と適当なことを言ってしまう。余命僅かな彼は家族や友達と過ごそうとするものの、そう上手くは行かず、自暴自棄になって河に身を投げ……

原題「The Angriest Man in Brooklyn」、邦題は余命1ヶ月の某にかけたんだろう。名優による笑いあり涙ありの人生の悲喜劇を見せるコメディ・ドラマ、ってことにしたかったのか。ロビン・ウィリアムズの最後の主演作であり、彼の最期に少し被る面もあるわけだが、映画としてはもう少し何かあっても良かったな。

余命僅かな彼が急ピッチで終活しようとするものの日頃の行いが祟って全て空回り~、というフシは、コメディとして小ボケで笑いを稼ぐ範囲には留まるのだが、終盤にかけての「怒り」という感情の処理の仕方が不味い。「怒り」が問題を生み、彼の周囲から人が離れていったので、その発生源を鑑みて、感情のぶつけ方・表し方を反省するというテーマならまだ建設的なのだが、劇中で起きた問題を女医が「怒り」に任せて解決するし、ラストシーンでは彼の「怒り」を家族が継承し他人にぶつけてワッハッハ、家族団らんで大団円。まるで「怒り」全肯定、他人に思い切りぶつけてOKみたいに見せているので、コメディのノリを超えて「おいおい、本当にそれでいいのか」と思ってしまう。そりゃ人間の感情は大事だし、家族の絆は大事でしょうけども……