ロアー

ミルカのロアーのレビュー・感想・評価

ミルカ(2013年製作の映画)
3.7
1960年ローマオリンピック。
インド代表の陸上選手ミルカ・シンは、ゴール直前に後ろを振り返りメダルを逃してしまう。帰国後、パキスタンとの親善大会の団長に選出されたミルカは、それを頑なに拒否する。彼にはパキスタンの地を踏みたくない壮絶な過去があった。

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実在のアスリートを描いた物語。
ミルカのことは知りませんでしたが、映画を観ると彼の残した成績からインドでは有名な英雄であることが伺えます。

主演のファルハーンは、今までちょっとちゃらっとした若者役しか観たことがなかったので、ヒゲも相まってまるで別人みたいでした。
アスリートの役作りって相当過酷ですよね。体作りもそうだし、競技シーンではきっと繰り返しすごい距離を走ったんだろうな。しかも裸足で。
怪我のシーンでは思わず「ぐああぁあ~アレは痛い~!」って声が出てしまいました。痛いなんてもんじゃない、エグい。怖い。

劇中の特訓も、タイヤを引いたりコップに汗を絞ったりと、まるで星飛雄馬のような昭和のスポ魂猛特訓(1950~1960年代と言えば確かに昭和)。走ればミルクが飲めるぞ!ってミルク1杯に奮起する描写やトラックに並んで一斉にスコップで穴を掘ってスターティングブロック代わりにしていた描写など、当時のアスリート事情にもびっくりしました。

スポーツ映画というだけで終わらず、彼の壮絶な過去が絡んでくるところもすごい映画でした。シク教徒の映画って、胸熱だけどやっぱり辛い話が多いですね(劇中「ケサリ」の話も引き合いに出てきてた)。
お姉ちゃんのシーンもショックだったし、お母さんを探すシーンも辛かった・・・インド映画を観ていると高確率でぶち当たる印パ問題。ミルカが再びあの地を踏んで、辛いことばかりじゃなかったのが救いでした。
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