うーたん

ブラックパンサーのうーたんのレビュー・感想・評価

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
4.5
タイトルは『ゴールドパンサー 反逆のキルモンガー』で良いと思います。
この映画の物語全体から敵役キルモンガーのストーリーを抜き出してみるとこうなります。
➡かつて反逆罪に問われ、命を奪われた王の血縁。その末裔が正体を隠して、王政への逆襲を開始する…。
これ、まんま『コードギアス 反逆のルルーシュ』と同じ話なんですね。
となると当然主役は、モテモテスポイル甘ちゃん王ティ・チャラなんかではなく、ギラギラ飢えた目で睨みつけてくるキルモンガーの方なんですよ。絶対に。

主役問題はさておき、、

映画本編はとても楽しめるアクション娯楽作でした。

アクションシーンはちょっと凡庸で既視感がありましたが、釜山のカーチェイスはスピーディで面白かったです。ソード=爪アクションの最新アップデートバージョンって感じで大画面で見ると迫力満点。興奮しました。ほとんどウルヴァリンでしたけどね。爪をひっかけて勢い回転とか、刀を道路に突き刺して急ブレーキ、とか結構アングルまでそのまんま。

でも非常にフレッシュなところもあります。

まずはアフリカンテイストを映画美術に取り入れ、モダンに昇華させたプロダクトデザイン。美麗。これを見るためだけでもお金を払う価値は十分にあります。

そして、もうひとつは映画音楽です。
打楽器を印象的に使ったファンキーでドープな劇伴。劇伴というよりブレイクビーツでした。
それに加えて、ケンドリック・ラマーを筆頭に最先端のHIPHOPアーティストたちが書き下ろした最高すぎる楽曲。
hip-hopファンの人(私も)は、そうでない人よりも点数を高くつけてしまう傾向があるかもしれません。
かつてHIPHOPラップミュージックをこれほどまでに「カッコ良い映画音楽」として成立させた超大作が存在したでしょうか。
hip-hopが使われる映画って、曲はカッコいいけど本編がダサかったり、ヒットチューンの寄せ集めサントラだったり、90年代後半から今までほんとそんなのばっか多くて。
ついにやってくれた!と溜飲が下がる思いです。

そんなわけで、音楽の個人的嗜好が本作の評価に大きく影響してしまい、点数が高めになっています。
これだけ楽しんだのだから満点でいいんですが、本筋であるはずのティ・チャラの物語にまったく共感できなかったところがマイナスとなりました。だって、リア充二世が人望なさすぎで悩む、みたいな話なんだもん。
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