(すごいまじめに書いちゃう。。笑)
勧善懲悪ではなくて、それぞれの正しさがせめぎ合う様を描く。
正しいと信じられてきたものが、裏切られて、別の正しさが浮かび上がるとか
“絶対”から“相対”がここ最近のマーベルのテーマになっていると思うし、今の世相を大きく反映していると思う。
正しくて、必ず最後は勝つとされていたはずのアベンジャーズが前作で完敗して、バッドエンドになるところなんかは、リベラルの大反対したトランプがまさかの大統領になったのと重なる部分があるし。
今回で言えば、
目の敵にしてきた「テロリスト」は、住む場所を追われ、平和に暮らせる場所を求める「難民」だったとか、
感情をコントロールできてこそ、一人前だと信じ込まされてきたけど、実は制御できない感情こそが、自分自身の最大の強みだった、とか。
また、やっぱり今の大きな時流の一つである、女性のエンパワーメントも大きなテーマになっていた。
ながく社会的に抑圧されてきた“女性”が自分の力を信じて、不条理な構造を変えていくー。
そんな世の中の流れを、ヴァースがキャプテンマーベルになるまでの過程から描き出されている映画だったように思います。
でも決して女性のエンパワーメントだけを
メッセージとしていたわけではなく、自分の可能性を信じて不条理を突き抜けようとするすべての人を後押ししているように自分には感じられました。
“力”はないかもしれないけれど、チャレンジして失敗するたびに立ち上がる、そのしなやかさやリベンジ精神こそが強さであって、そのことに気づけたときに、ヴァースは持っている力を最大限に引き出すことができるという描かれ方が印象的でした。
敏感に今の世の中の流れを汲み取り、細やかにシナリオに反映させていくことが、映画を現実以上にリアリティをもった作品にさせしめる。だからこそ、すごく揺さぶられる。
全然毛色が違う、ジブリの鈴木さんはこんなことをあるインタビューでいっていた。
「この30年を振り返ると、変わらなかったのは男ですよね。女性はどんどん変わっていった。ジブリの映画はそこをちゃんととらえていた。「女性の時代」は平成のもう一つの大きな特徴です。結果として、時流に乗ってしまったわけです」
「乗ってしまった」と表現するところがまた面白いのだけれど、まさにマーベルと同じことをジブリもやったからあれだけのヒットを実現したのだと思う。
見えないけれど世の中を確実に動かしている空気感や共有される価値観を機敏に察知して、それを映画という作品に込める。
キャプテンマーベルの次に繋がる、アベンジャーズはどんな風に今の世相を映画で表現するのかなあ。。